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尾道市では、人口減少、少子高齢化に伴い、公共施設等に対する需要が変化していることから、新たなサービスに対応できるよう、公共施設のスマート化に取り組んでいます。
この取組の一環として、公民館にWi-Fi環境を整備し、オンライン予約及びスマート鍵管理システムの導入や、オンライン講座の拡充など、デジタル技術を活用して利用者の利便性の向上及び公民館機能の拡充を図る「スマート公民館整備事業」を進めています。
今回の実証では、市民の学びに対するニーズの把握とデジタル技術の活用による公民館の運営サービスの向上を目的として、株式会社日本総合研究所の支援のもと、以下の3つの実証実験を行いました。
1.オンライン講座(録画)の配信
2.公民館講座のオンライン生配信
3.宮崎県日向市とのオンライン囲碁交流会の開催
それぞれの実証の詳細と結果について、掲載いたします。
株式会社Schooの提供する生涯学習講座の動画を、公民館で配信するイベントを行いました。実証の結果など詳細については以下のリンクからご確認ください。
・オンライン講座の配信による市民の学びに関する実証結果について
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000018.000068011.html<外部リンク>
公民館で普段から実施している講座の一つを、複数館に同時配信するイベントを行いました。
実施日時:令和5年3月2日 10時30分~12時00分
実施場所:土堂公民館
(同時配信)栗原公民館、河内公民館、自宅
土堂公民館、栗原公民館、河内公民館、自宅参加者をZOOMアプリでつなぎ、オンラインで参加できる同時生配信を行いました。
土堂公民館にいる講師からも、他館や自宅からの参加者の様子を見ることができ、質問などにも答えながら講座が進行しました。
終了後、参加者全員を対象にアンケート調査を実施しました。
(講師のポーズを映した講座中のZOOM画面。上部には栗原公民館・河内公民館の様子も映っています)
オンラインでの映像と音声のやり取りが可能。
本実証の参加者の約半数が60歳以上のシニア層であり、また8割が初めてのオンライン講座参加でしたが、満足度については、「非常に満足」(81%)「まあまあ満足」(19%)で、全員が満足と回答し、「不満」「あまり満足していない」「どちらとも言えない」というネガティブな回答はありませんでした。
「後から見返せたらうれしい」「アーカイブ配信があるといい」という意見がありました。
また、自宅からの受講者から「子どもが周りで泣いたりしても、気を使わず受講できたので良かった」と言う意見もあり、子育て中の方にも参加してもらいやすくなることが分かりました。
今回の講座では、参加者21人中16人が公民館での参加、5人が自宅からの参加となりました。公民館からの参加を選択した理由では、「自宅に視聴に適した機器がないため」(4人)、「自宅では集中できないため」(4人)が多く、「他の受講者と交流したかったため」「お誘いを受けて」「家で一人でやるより楽しい」などの回答が続きました。
機器の有無だけが理由ではなく、公民館が本来持つ「場」としての機能面も多く挙げられていたことから、オンライン講座に参加できる自宅環境の有無にかかわらず、公民館で学びたいというニーズが高いことが分かりました。
アンケート結果を踏まえると、生涯学習講座をオンラインで配信すること自体は、満足度は高いことが考えられます。また、自宅からの参加と公民館での参加、どちらにもニーズがあり、それぞれの参加者がメリットを感じていることが明らかになりました。
このことから、オンライン配信によって、講座の受講方法の選択肢を増やし、いつでもどこでも学びたいという市民ニーズを満たしつつ、多様な生涯学習講座を提供し、市民の学びを充実させるという生涯学習サービスのオンライン配信の役割、価値も再確認されました。
日向市と尾道市をオンラインでつなぎ、囲碁を通じた地域間交流イベントを行いました。
第1回 令和5年2月27日 13時30分~16時30分 土生公民館
第2回 令和5年3月13日 13時30分~16時30分 東部公民館
参加者:尾道市と日向市の囲碁愛好家の皆さん
両市の囲碁愛好家をオンラインで繋ぎ交流を行いました。
株式会社パンダネットの協力のもと、同社の提供するオンライン囲碁対局システムを利用し、対局を行いました。
対局後には、オンラインで東京にいるプロ棋士の方から、対局内容について解説と講評もありました。
終了後、両市の参加者全員を対象にアンケート調査を実施しました。
(オンライン対局中の様子) (プロ棋士による解説を聴く参加者の皆さん)
(オンライン交流会閉会のあいさつをする会場の様子)
オンラインでの映像と音声のやり取りが可能
オンラインで囲碁の対局が可能。株式会社パンダネットが提供する。
本実証の参加者の約95%が60歳以上のシニア層でしたが、満足度については「非常に満足」(42.4%)「まあまあ満足」(51.5%)を合わせると、93.9%に上り、多くの人が満足と感じていることがわかりました。
なお、不満の要因としては操作の不慣れに伴う問題や、対局の時間制限に関する意見が多く指摘されました。
他の自治体の方とオンラインで交流するイベントには、今後も参加してみたいという声が多く、囲碁のほか、特産品の試食会など行ってみたいという意見が複数ありました。
アンケート結果を踏まえると、他地域とのオンラインでの交流会は満足度が高く、また交流してみたいと感じていることが分かりました。
このことから、シニア層の方でもオンラインに対する抵抗が大きいということは無く、継続的にオンラインを活用した取組みをすることにより、さらなる地域間交流が可能となると考えられます。
本実証実験の結果を踏まえ、これまでの公民館活動に加え、オンラインを活用した取り組みも促進し、さらなる地域コミュニティの醸成を図り、公民館の価値向上に努めます。